『さくらがさくころに』の解説、及びフェイマのお話 その2

ここからは、『さくらがさくころに』の2番のお話になります。

前回のお話はこちら→『さくらがさくころに』の解説、及びフェイマのお話 その1
『さくらがさくころに』はこちら→『さくらがさくころに』


――ユアートの記念日のお話はまたどこかでしますが、記念日あたりは、毎年ちょうど桜の花が満開になります。
カウラスくんは、自身の地元の村の近くにある桜が好きで、毎年この頃になると見に行っていました。

……フェイマちゃんは、出会ってからしばらく日が経つのに、未だに何も話さず、いつも不安そうな表情ばかり浮かべて……カウラスくんは、フェイマちゃんに元気になってほしくて。きれいな桜の花を見ると、きっと心が安らぐと思って。「一緒に見たいものがあるので、ついてきていただけますか?」と、ちょっとサプライズ的に、詳細を言わずにフェイマちゃんを連れて行きました。

でも、(この一時だけは)フェイマちゃんには逆効果で。どこに連れていかれるのか分からなくて、不安でしょうがなくて。それに、少し歩いて疲れてきてしまって。途中で、座り込んで泣き出してしまいました。
カウラスくんは反省しつつも、やっぱり桜の花を見て欲しかったので、そこからはフェイマちゃんをおぶって行きました。

フェイマちゃんは相変わらず不安で、カウラスくんの背中でめそめそ泣いていましたが……桜が見えてきて、カウラスくんが「もうすぐで着きますよ」と言うと……顔を上げたフェイマちゃんは、目をまんまるにして。足をじたばたさせたので、カウラスくんが背中からフェイマちゃんを降ろすと、フェイマちゃんは桜のある方へ駆け出していきました――疲れているのも忘れているかのように。

桜を見上げたフェイマちゃんは、今までとは別人のように、ぱぁっと明るい顔になって。嬉しそうに、るんるんとしていました。
――カウラスくんは思いました、きれいだな、って。
もちろん、一面の桜の花もきれいですが、桜の花を幸せそうに見上げるフェイマちゃんのことも、素直にきれいだと思ったのです。……そのときは、まだ”思っただけ”ですけど、ね。

……フェイマちゃん、ユアートに来る前に何があったかは分かりませんが、そのときに何かを思い出したようです。私の勝手な妄想ですが、両親とお花畑で遊んだことでもあるのでしょうかね……とても、きゃっきゃっと嬉しそうにしていました。


ここからは、『さくらがさくころに』には入れていないところです。入れていないのですが、二人がお付き合いするところのお話になるので、一応書いておきます。


……フェイマちゃん、飽きもせずずっと桜の花を嬉しそうに見ていましたが、日が傾いてきたので、その日は……フェイマちゃんは少し渋りつつも、またカウラスくんにおぶられて帰路につきました。

次の日。カウラスくんはフェイマちゃんに食事を届けに来たのですが、お家にフェイマちゃんはいませんでした。今まで、役所以外に出歩いているところを見たことがないと思いつつ、辺りを探してみましたが、フェイマちゃんは見つかりませんでした。

仕方なく……カウラスくんは、一年の中で桜の花はこの時期しか見られないからと、実家に顔を出すついでに、昨日と同じ桜の花を見に行くことにしました。
するとなんと……昨日、ちょうどフェイマちゃんが座り込んでしまったところ辺りで、フェイマちゃんがまた座り込んでいました――ひとりで、また桜の花を見に行こうとしていたようですが、疲れるし、昨日座り込んでしまったところまでしか道を覚えていないし、不安で……という感じです。
なんとなく察したカウラスくんは、またフェイマちゃんをおぶって、桜の花のあるところに行きました。

昨日、あれだけ見たにも関わらず、フェイマちゃんはまた、嬉しそうに桜の花を見ながら舞い上がっていました。そんなフェイマちゃんを見ながら、カウラスくんはいろんなことを考えていました……。

しばらくして、カウラスくんはフェイマちゃんに声をかけました。――フェイマちゃんが、きれいだということ。役所の職員としてではなく、関係を持てば、もっとできることが増えるだろうということ。――フェイマちゃんは、首を横に振りました。
どうしてかと尋ねると……ちょうど筆記用具を持っていたので書いてもらうと、そこには「めいわく」と書かれていました。カウラスくんは自分のことかと一瞬思ってしまいましたが、自分が「めいわく」になると思っているのはフェイマちゃんの方でした。フェイマちゃんはしょんぼりした顔で、目には涙を浮かべていました。

カウラスくんは、(カウラスの)お家に来ないかと提案しました。迷惑だなんて思っていないし、もっと一緒にいる時間を増やしたい、って。……フェイマちゃんは少し困ったような顔をしましたが、静かに頷きました。
──恋愛的にお付き合いするわけではなく、最初はこんなふうに、カウラスのお人好しが過ぎたことから始まったものでした。

それまでは「フェイマさん」と呼んでいたカウラスくんですが、そこから「フェイマちゃん」と呼ぶようになりました。
カウラスくんは改めて自己紹介をしたのですが、「……あ、あ……う……」と……初めてフェイマちゃんの声──にならない声──を聞いたのですが、”カウラス”を上手く発音できないようで。カウラスくんは少しはにかみながら「みんなからは”かーくん”って呼ばれてるよ」と言うと、フェイマちゃんは「あ……あーう」と言いました。……カウラスくんはなんとなく、フェイマちゃんの”かーくん”って言ってるように感じました。
「そうそう、かーくんって呼んでいいよ」と言うと、フェイマちゃんは「……へへ、あーう、あーう」と、ちょっと嬉しそうにカウラスの名前を繰り返しました。


別のページですが、何気ない日常の物語で……フェイマちゃんは、あまり発語が得意ではないのですが、自分の言葉が伝わるのがとても嬉しいようです。こちらも合わせて見てみてくださいね(*^^*)


長くなってしまいましたが、ここまでが『さくらがさくころに』の2番、そして3番に繋がるまでの内容です。

次が最後の解説になります。こちらです↓
『さくらがさくころに』の解説、及びフェイマのお話 その3

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