これは、私の創作ノートから発掘された短い小説のようなものです……
↓登場人物
「……エテちゃんは、ぼくのこと、好きですか」
何回も聞いたその質問。
私はそう訊かれるたびに、いつも好きだと答える。
でも今日は違った、私は少し怒っていた。
「……好きだよ、大好きだよ。…… でも、私はあと何回、あなたに好きだって言えば信じてもらえるの?私のこと、そんなに信じられない?……それとも、ルトゥは私のこと、嫌いなの……?」
ルトゥが何度も不安になって訊いてくるほどに、嫌いだという素振りを見せた記憶はない。……せめて言うなら、いつも単身赴任しているルトゥがなかなか帰って来なくて、寂しくて……帰って来たときに、ばか!って、八つ当たり気味に言ってしまうことはあった。
でも……それよりもずっと昔からだ。出会ったときからずっと、ルトゥは何度も、私に同じ質問を繰り返してきた。……何をそこまで不安になっているのか。私はそんなに信用されていないのか。……さすがに、こう何度も訊かれてしまうと、私まで不安になってしまう。
……ルトゥは、目をそらしながら、静かにこう答えた。
「……ぼくはエテちゃんが好きです。でも……」
……ルトゥの目が、少し潤っていた。
「……ぼくは、幼い頃から……ずっと、ぼくのことが嫌いです。エテちゃんではなくて……ぼくは、ぼくのことを信じられないんです。だから……エテちゃんの気持ちを、いつも素直に受け止められなくて……ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
……小さな声を震わせながらそう言って……涙が堪えられなくなったのだろう、また以前のように、家を出てしまった。……どこにいるのかは知ってる、ルトゥがこういうときはひとりになりたいって思っているのも知ってる。
……どうして私は今まで気づかなかったのか。ルトゥは私のことが嫌いではなく、自分のことが嫌いだったということを……。いつもどこか、私と少し距離を置いていたルトゥ。それを、私は自分の感情に任せて、無理やりルトゥの腕を引いていたのかもしれない。……ルトゥが抱えていた大きな不安は、私の勝手なわがままが生んだものなのかもしれない。……謝らないといけないのは、私の方だった。
……というものです。
あまり表向きには言えませんが、アルトゥムは発達障害(ASD・自閉症スペクトラム)の傾向が強い子だと思っています……。
彼はとても自尊心(自己肯定感)が低いですし、それが彼のひとつのこだわりのようなものだとも考えています。
また、不安が強い子でもあります。肯定されても、そうでないかもしれないと不安になる……何度肯定されても、その不安は変わらない。
……エテちゃんについても、まあ仕方のないところはありますけどね……アルトゥムのこと、言い方が少し悪いですけど、お人形のように思っています。可愛がっていますけど、自分勝手に連れ回してしまうことも多々……優しいんですけど、度がすぎることもあり、アルトゥムは困惑してしまうことも……。
エテちゃんは両親を失ってから、心の支えになる何かが欲しかった。それで居場所をくれたのがアルトゥムだった……という出会いから始まった二人。二人ともまだ、互いのことについて知らないことが多いみたいだけど(特にアルトゥムは口下手)、こうして少しずつ、気持ちをしっていけるといいね。





コメント