

「お願い、私はどうなったって構わないから、あの子にだけは手を出さないでちょうだい」
リュシエンヌは、日常的に夫から暴力を振るわれていました。息子のクレイオスは、何もできずに怯えながらそれを見てきました。暴力は日に日に酷くなり、リュシエンヌは命を落としてしまいます。それでも、最後まで息子を守ろうとしていました。

リュシエンヌの死後、息子には手を出さないでほしいと言われたにも関わらず、今度は息子のクレイオスに矛先が向けられてしまいました。
弱虫なクレイオスは学校でいじめられたりもしていましたが、友人もいました。ユディです。
ユディは、クレイオスの所々にできた痣について……今まで訊けませんでしたが、あるときやっと訊けました。でも、クレイオスは「大丈夫だよ、転んだだけだから」と嘘をつきました。本当は”助けて”って言いたかったけど、心配をかけたくなかったのです。
家に帰れば、父に怒鳴られ、暴行され……クレイオスはひどく怯えながら暮らしていました。
あることをきっかけに、クレイオスが父親に虐待されていることを知ってしまったユディは、うちに来ないかとクレイオスに提案します。
友人の家に泊まると言えば怒られるだろうし、黙って泊まっても怒られるだろうし……クレイオスは戸惑いましたが、黙って、1日だけユディの家に泊めてもらいました。
次の日帰ってきてから、やはり酷い目に遭いましたが……ユディの家は貧乏だとはいえ、またいつでも来ていいからねと言われていたので、少しだけ安心していました。
でもある日、ユディも、ユディのお母さんも、突然いなくなってしまいました。……学校にも、家にも居場所がないクレイオスは絶望しました。
特に家にいるのはもう堪えられなくなって、クレイオスは宛もなく、必死に逃げるように家を出ました。

寒くて、暗くて、お腹も空いて……怖くて、ずっと震えながらうずくまっていました。
そこから先は、またいつか、ね……父親とはここで決別したので、そこだけはご安心ください、ここから彼は新しい人生の道を歩みはじめます。



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