ライラックの物語~おおまか~

ライラックが生まれたのは、アルビネスが滅びた後。
アルビネスが滅びた話については、リリーの物語 第1章をご覧ください。
私もよく覚えていないのですが、消えたはずのリリーの母・ルビナが、「外側の世界(暗闇の世界)」で、リリーの監視役としてライラックを生み出しました。

リリーがあの後、精神的に錯乱することが増えてしまい、それを正気に戻すのがライラックの仕事。チートな体をしているリリーでも打ち抜くことができる特殊な弓矢を持っていて、ライラックはリリーが錯乱状態になったとき、リリーの背中に矢を打っていました。
(外側の世界から、内側の世界のことを映し出す魔法を使っていました、その矢は外側の世界からでも、リリーを確実に射抜ける特殊なもので、今でもリリーの背中にはたくさんの傷跡が残っています。)

暗闇の中でたったひとり、リリーを見ていました。錯乱したリリーを射抜くと、リリーは気を失いそうになるくらい痛そうにしていて(当時、リリーはライラックの存在を知らず、なぜ背中を射抜かれるのか分かっていませんでした)……最初は仕事だと思って責務を果たしていたライラックですが、だんだんとそんなリリーを見るのがつらくなってきてしまいました。

さらには、リリーは人間たちと暮らしており、ライラックは自分が孤独であることもつらくなってきてしまい……弓を放つこともやめてしまい、ただリリーをぼーっと見つめていました。でも、思いはつのるばかり。ライラックはリリーと同じところに行きたくてうずうずしていました。
それがルビナにバレてしまったようで、ライラックの中に、もう一つの人格を植え付けられてしまいました……それがリラです。
ライラックも、リリーと同じように額に目を持っていましたが、その目を開いているときがライラック、目を閉じているときがリラになるようになっていました。ライラックの代わりに、リラがリリーを正気に戻す仕事をするようになりましたが、リラの中からそれを見ていることもつらくなって……

ついにライラックは、内側の世界に行くことを決意します。

……私が初めてライラックに出会ったのはここからでした。
ライラックはリリーを外側の世界に閉じ込めて、リリーの立場を奪取しました。これで自分にも友達ができる、孤独ではなくなる……そう思っていました。
そんなシーンからライラックを見始めたので、私は最初、ライラックは悪役みたいなものだと思っていました。後にもあるのですが、ライラックはけっこうやらかしてしまうんです……。

人間たちと仲良くなれると思っていたのに、ライラックは額にある目を開けていたため、人間たちから不気味がられ、避けられがちになってしまいました。それとは裏腹に、目を閉じており、いつもにこにこして性格もいいリラは、人間たちから好かれていました。
ここはひとりぼっちの暗闇の世界ではない、人間たちはいるのに、どこか孤独を感じてしまったライラック。さらには、リラだけちやほやされていることに対して、リラに嫉妬してしまい、結局またつらくなってしまったライラックは、しばらくリラを表に出しておいて、引きこもっていました。

そのころ、リリーはそんなライラックの様子を外側の世界から見ており、ある日……リリーは、ライラックとリラに別々の体を与えました。
ところが……ライラックはもうすでに、抑えきれないくらいの気持ちを抱えていました。

別々の体になったその日の夕方、ライラックはリラを呼び出しました。
……リラはなんとなく察していました、ライラックが自分のことを良く思っていないことを。
ライラックはリラのルリ(心臓部分)を取り出し、リラの目の前でそれにナイフを突き刺しました。
「お前さえいなければ……っ」

補足
正式名称はルリではないのですが、ルリーナの心臓部分は、リリーだと、胸の部分にある青い宝玉のようなものです、自身の目と同じ色をしています。これを傷つけられると、激痛に襲われたり、後遺症や、後の人生の運命に大きく関わってくると言われており、他人のルリを傷つけることは禁忌とされています。

(魔力でできた)ナイフでルリを刺されたリラにはとてつもない激痛が走りましたが、リラは精一杯微笑んでいました。
ライラックが自分のせいで苦しんでいるのを分かっていたから、躊躇してほしくなかった。……大好きなライラックのためなら、消えてもいいと思っていた。
そんなことも知らず、憎しみで我を失っているライラックはリラが調子に乗っていると思い、リラのルリを無惨にもぐりぐりと穴をほじくるようにナイフを強く当てました。
さすがにも、リラの微笑みは少しずつ歪んでいき、しまいには酷い顔になって、悲痛な叫びをあげて……ライラックはその悲鳴で我に返りましたが、そのときにはもう……リラは、消えてしまいました。

ライラックはやっと、自分がしてしまったことの重大さに気づき、急にひどい罪悪感に襲われました。でも、リラはもう二度と返ってきません。

それからもライラックは暴走(?)します、現実逃避をするように……この辺はあまり覚えていないのですが、子どもを数名誘拐して、無理やり孤独感を埋めようとします。さらに、ここでも禁忌的なことをしてしまいます、その子どもたちを……詳しくは言えないのですが、半殺し(?)にしてしまいます(死んではいませんが、人間ではなくなってしまいます)……そんなことをしても満たされることはなく、罪悪感と孤独感が襲ってくるばかりでした。

これ以上自分がここにいても、誰かが不幸になるばかりで、もちろん自分も幸せにはなれなくて。
……ライラックは、外側の世界に戻ることを決断します。
結局リリーとはそこですれ違いになるだけで、一度も会えることはありませんでしたし、リリーに合わせるような顔もないと思っていたので……。
暗闇の中に戻ったライラックは、そのまま何年も、ただリリーだけを見守り続けていました。


……外側の世界への呪縛を解いたのもまたリリーでした。
ライラックは外側の世界から解放されたのですが、リリーには……会いたいけど、会いたくなくて、陰の方に隠れてうずくまっていました。
まあ、簡単に見つかってしまうんですけどね。

そっと近づいてきたリリーに……叱られると思っていましたが、リリーはライラックの頭に優しく手を乗せ、ただ「つらかったね」とだけささやきました。
……ライラックはその言葉に、ぼろぼろと泣いてしまいました。生まれた時から見てきたリリー……やっと会えた喜びと、今までの自分の愚行を(リリーを外側の世界に閉じ込めたことを含め)赦してくれたような安堵感で。

それからライラックは、リリーと、リリーの友人たちと一緒に暮らしています。シーラがいるのでなかなかリリーにかまってもらえないことも多いですが(リリーはシーラを優先しています)、その代わりローラとは親友のような関係になりました。不器用な性格なのでリリーとローラ以外の子たちとはあまり親しくできていませんが……まあ、今までの生活と比べたら格段に楽しそうにしていると思います。

……こんな感じですかね。少し別の世界線では大活躍するライラックですけども、主世界線ではリリーがいるので、不器用キャラとして立っていることが多いです。まあ、主世界線でもリリーが動けていないので、子どもたち(特にランジュ)の面倒見たりしていることもありますけどね……本来は優しくて面倒見のいい子です。寂しがりやで、かまちょなところはありますが……うん、いろいろやらかしてしまいましたけども、基本的にはいい子なんです、悪く思わないであげてくださいね……。

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