『呪われし諸人に篤い幸せを』
かつて、神々の世界との中継地となっていた、名もなき小さな地。神々との交流もしていたが、あるとき、大きな黒い力(呪いと呼ばれている)に飲み込まれてしまい、神々は外界に出づらくなってしまった。
人々は呪いによってとても苦しい生活をし、滅びゆく運命を辿ろうとしていた。しかし、その地に白い力(恩恵や、祝福と呼ばれている)を与えた女神がいた。呪いはまだ消えないものの、祝福のおかげで人々はある程度の日常を取り戻したのだった。人々はその女神に感謝し、女神の名にちなんで、名もなきその地にユアートという名をつけた。
……それから幾年経ったことだろうか、それらは一部の人々にしか語り継がれず、人々は呪われていることも、祝福されていることも忘れてしまっていた。でも外の世界では呪われていることが噂されており、ユアートに近づく者たちはほとんどおらず、流刑地として扱われたりしていた。
……ということも知らず、彼らは呪われている中でも、彼らなりの幸せを築きながら暮らしていた。呪われて苦しくつらいことがあるからこそ、彼らは小さなことにでも幸せを感じていた。愛する人と笑顔でいられることに喜びを感じていた。
彼らは端から見ると、ただの「村人A」だ。だけど、そんなちっぽけな存在にも人生がある……誰に語り継がれるわけでもない小さな物語でも、彼らは今を生きている。



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